爪革とは – 知られざる下駄の部位の名前
革製品を知りたい
爪革について教えてください。
革製品の研究家
爪革とは、主に下駄や雪駄の前部分に装着される革製の覆いのことです。
革製品を知りたい
爪革にはどのような種類があるのですか?
革製品の研究家
爪革の種類は、その形状や素材によってさまざまです。例えば、爪先を覆うだけのもの、足全体を覆うもの、素材は主に牛革や豚革、合成皮革などがあります。
爪革 とは。
爪革とは、下駄の前部分にほこりや雨時の泥跳ねを避けるために、指の部分につけた革製の覆いのことです。爪先革とも呼ばれ、デザインによりさまざまな形状があります。これを関東では爪革、京都では向掛け、大阪から播磨にかけては向革といいます。
下駄は、田植えのぬかるみに足をとられないため弥生時代から登場しましたが、上流の都市民が使用するようになるのは中世に入ってからでした。しかし、都市民に広く普及したのは江戸時代中期以降、農村にまで普及して一般化したのは明治以降のことです。
爪革の歴史
爪革の歴史は古く、少なくとも平安時代にはすでに存在していたとされています。平安時代の絵巻物には、下駄を履いた人物が描かれており、その下駄には爪革が取り付けられています。また、鎌倉時代には、爪革を専門に作る職人集団が登場しています。爪革は、下駄の鼻緒と接する部分であるため、下駄の履き心地を左右する重要な部分です。そのため、江戸時代には、爪革の素材や製法に様々な工夫が凝らされるようになりました。爪革は、下駄の履き心地を良くするだけではなく、下駄を丈夫にする役割も果たしています。そのため、爪革は、下駄を履く人にとって欠かせないものでした。
爪革の種類と形状
爪革の種類と形状
爪革には、大きく分けて2種類あります。1つは「コハゼ式」で、爪革を下駄の鼻緒に通して固定するタイプです。もう1つは「ベロ式」で、爪革を下駄の鼻緒に縫い付けて固定するタイプです。コハゼ式は着脱が容易ですが、ベロ式は爪革が脱落する心配がなく、より丈夫です。
また、爪革は形状もさまざまです。一般的に、爪革は長方形ですが、丸形や三角形のものもあります。爪革の形状は、下駄のデザインに合わせて決まります。下駄のデザインは、日本の伝統的な柄や模様が施されているものから、現代的なデザインのものまで、さまざまなものがあります。爪革は、下駄のデザインを際立たせる重要な役割を果たしています。
爪革の用途
爪革とは、下駄の鼻緒に用いる革です。下駄の鼻緒は、爪革、鼻緒芯、鼻緒先、滑り止めという4つの部分からできています。爪革は鼻緒の前面に位置し、鼻緒芯を覆っています。
爪革の主な用途は、下駄を履く際に足への負担を軽減することです。爪革は柔軟性と弾力性があるため、歩行時に足が曲げ伸ばししやすくなります。また、爪革は親指と人差し指の間の摩擦を軽減し、親指の爪が磨耗するのを防ぎます。
爪革は、下駄の美観を高める役割も果たしています。爪革の色や素材を変えることで、下駄の印象を大きく変えることができます。また、爪革には家紋や花柄などの装飾を施すことができ、下駄をより華やかなものにすることができます。
爪革の作り方
– 爪革の作り方 –
爪革は、下駄の鼻緒の固定などを助け、雪道などでも滑りにくくする下駄の部位です。
爪革は、主に牛革や馬革などの動物の皮を使用しています。まず、動物の皮をなめして柔らかくします。そして、なめした皮を爪革の大きさに切り取り、爪革の形に成形します。その後、爪革を乾燥させて完成させます。
爪革は、下駄の鼻緒の固定や滑り止めの役割を果たすだけでなく、下駄の見た目を美しくする役割も果たしています。そのため、爪革は、下駄を作る上で重要な部位となっています。
爪革のメンテナンス
爪革のメンテナンスは、下駄を長持ちさせるために重要な要素です。下駄を使用後、爪革にほこりや砂が付着している場合は、柔らか目の布や歯ブラシでやさしく取り除きましょう。爪革は水に弱いので、濡れたらすぐに乾拭きしてください。特に、濡れたまま長時間放置すると、爪革が傷んだり、カビが生えたりする原因になります。
また、爪革は乾燥するとひび割れや破損の原因となります。そのため、定期的に油脂を塗布して保湿する必要があります。油脂は、椿油や馬油などがおすすめです。油脂を塗布する際は、柔らかい布やブラシに少量含ませて、爪革の表面に塗ってください。塗りすぎると、油脂が爪革に浸透せずに表面に残り、滑りやすくなることがありますので注意してください。
爪革のメンテナンスを怠ると、爪革が傷んだり、破損したりして、下駄を履くことができなくなってしまうことがあります。そうならないためにも、日頃から爪革のメンテナンスを心がけましょう。