革の用語『遊離ホルムアルデヒド』の意味と基準
革製品を知りたい
先生、革製品に含まれる有害物質の遊離ホルムアルデヒドについて教えてください。
革製品の研究家
遊離ホルムアルデヒドとは、革製品から放出されるホルムアルデヒドのことです。ホルムアルデヒドは、刺激臭のある気体で、発がん性があることが知られています。そのため、革製品の品質基準では、遊離ホルムアルデヒドの含有量を規制しています。
革製品を知りたい
ホルムアルデヒドは、革製品の製造工程で発生するんですか?
革製品の研究家
はい、革製品の製造工程で、ホルムアルデヒドは使用されます。革をなめす際に、ホルムアルデヒドが使用されるのです。ホルムアルデヒドは、革のタンパク質と反応して、革を丈夫で耐久性のあるものに仕上げます。しかし、ホルムアルデヒドは、革製品から放出されやすく、健康被害を引き起こす可能性があります。
遊離ホルムアルデヒドとは。
革製品の用語「遊離ホルムアルデヒド」とは、細切れした皮革サンプルを40℃の水で1時間抽出してアセチルアセトン法で発色させ、一定量を抽出することにより得られる溶出量のことです。
日本エコレザー基準(JES)では、エキストラは16mg/kg以下、成人(皮膚接触)は75mg/kg以下(厚生省令第34号(1974)に基づく)、成人(皮膚非接触)は300mg/kg以下(通産省行政指導(1972)に基づく)と規定されています。
試験法として、厚生省令第34号(1974)、JISL1041:2000、およびISO17226-2:2008(IULTCS/IUC19-2)の測定法はすべて、アセチルアセトン法でほとんど同じです。
遊離ホルムアルデヒドとは何か?
遊離ホルムアルデヒドとは何か?
ホルムアルデヒドとは、無色で刺激臭のある気体で、接着剤や防腐剤、消毒剤などのさまざまな工業製品に使用されています。ホルムアルデヒドは、自然界にも存在し、植物や動物の組織にも含まれています。しかし、人工的に合成されたホルムアルデヒドは、人体に有害であることが知られています。
ホルムアルデヒドは、吸入すると目や鼻などの粘膜を刺激し、頭痛や吐き気、嘔吐などの症状を引き起こすことがあります。また、皮膚に触れると、かゆみやかぶれなどの症状を引き起こすこともあります。さらに、ホルムアルデヒドは、発がん性物質であることが知られており、長期的に吸入すると、鼻腔がんや咽頭がんのリスクが高まることがわかっています。
革製品には、ホルムアルデヒドが使用されることがあり、このホルムアルデヒドが革製品から遊離して空気中に放出されることがあります。遊離ホルムアルデヒドは、人体に有害であるため、革製品から放出される遊離ホルムアルデヒドの量には基準が設けられています。この基準は、革製品の製造方法や使用される材料によって異なりますが、一般的には、100gの革製品から放出される遊離ホルムアルデヒドの量は、0.1mg以下であることが求められています。
遊離ホルムアルデヒドの基準値
遊離ホルムアルデヒドの基準値
革製品における遊離ホルムアルデヒドの基準値は、製品の用途や販売地域によって異なります。日本工業規格(JIS)では、革製品の遊離ホルムアルデヒドの基準値を定めており、用途別に以下のように分類しています。
・衣類用革製品40mg/kg以下
・寝装用革製品30mg/kg以下
・靴用革製品20mg/kg以下
また、欧州連合(EU)では、革製品の遊離ホルムアルデヒドの基準値を75mg/kg以下と定めています。
革製品の遊離ホルムアルデヒドの基準値は、製品の安全性確保のため重要な指標となっています。基準値を超過した革製品は、人体に悪影響を及ぼす可能性があるため、製造工程において適切に管理することが求められます。
遊離ホルムアルデヒドの試験方法
遊離ホルムアルデヒドの試験方法
遊離ホルムアルデヒドの試験方法は、日本工業規格(JIS)Z 0011「革及び毛皮の試験方法」に定められています。 この試験方法は、試料を一定の条件下で加熱し、発生した遊離ホルムアルデヒドを亜硫酸ナトリウム水溶液で捕集し、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を加えて発色させ、その発色度を測定する方法です。遊離ホルムアルデヒドの試験結果は、ppm(百万分率)で表されます。
試験結果は、革の種類や加工方法によって異なりますが、一般的に、革の表面に塗布される仕上げ剤や接着剤の種類、また、革の厚さや加工の工程数によって遊離ホルムアルデヒドの含有量は変化します。 また、革の製造過程で使用される原料や助剤、染料や薬品の種類によっても影響を受けます。そのため、一概に「革はすべて安全である」とは言えず、革製品を製造する際には、遊離ホルムアルデヒドの含有量を測定し、基準値を満たしていることを確認することが重要です。
革製品の安全性を守るために
革製品の安全性を守るために、革の用語である「遊離ホルムアルデヒド」を理解することが重要です。遊離ホルムアルデヒドとは、革製品に含まれるホルムアルデヒドのうち、空気中に揮発して遊離した状態にあるホルムアルデヒドのことを指します。ホルムアルデヒドは、革のなめし剤として使用されることが多く、革製品から揮発して空気中に拡散すると、目や鼻、喉の粘膜に刺激を与え、頭痛や吐き気、じんましんを引き起こすことがあります。
革製品の安全性を守るためには、遊離ホルムアルデヒドの量を低減することが重要です。これには、革なめし剤の工夫や、革製品の製造工程での換気を行うなど、様々な対策が講じられています。日本工業規格(JIS)では、革製品中に含まれる遊離ホルムアルデヒドの量を規制しており、一定の基準値を超えると製品の販売が禁止されています。そのため、革製品を購入する際には、遊離ホルムアルデヒドの量が基準値を満たしているかどうかを確認することが大切です。
また、革製品の安全性を守るためには、正しい使用方法と管理を行うことも重要です。革製品を使用した後は、風通しの良い場所に保管し、定期的に換気を行いましょう。また、革製品を水に濡らさないように注意することも大切です。革は水に弱い性質を持っており、水に濡れることで強度が低下したり、ホルムアルデヒドが揮発しやすくなったりするからです。
エコレザー基準と遊離ホルムアルデヒド
エコレザー基準と遊離ホルムアルデヒド
エコレザーとは、革の製造工程で有害物質の使用を抑えた革のことです。エコレザーの基準は、国や団体によって異なりますが、一般的には、遊離ホルムアルデヒドの含有量が一定量以下であることが求められます。遊離ホルムアルデヒドとは、ホルムアルデヒドが革に結合せずに残っている状態のことで、人体に悪影響を及ぼす可能性があります。エコレザーの基準は、消費者の健康を守るために設けられています。