革製品と接触性皮膚炎
革製品を知りたい
革製品の用語『接触』の意味は何ですか?
革製品の研究家
接触とは、特定の外的要因が皮膚に接触したことによって生じる湿疹性病変のことです。最も多い原因物質は、金属アレルギーです。
革製品を知りたい
靴底から水で溶出した物質がクロムであったかどうかの確認がなされていないということですが、靴底から溶出した物質がクロム以外である可能性もあるということですか?
革製品の研究家
その通りです。靴底から溶出した物質がクロムであるかどうかは、確認されていません。着用中には製造に使用した種々の薬品、着用中に外部から付着した化合物などさまざまな物質が足に付着する可能性があります。
接触とは。
革製品の用語である「接触性皮膚炎」とは、特定の外的要因が皮膚に触れることで起こる湿疹性病変のことです。代表的な原因物質は、金属(ニッケル、コバルトなど)、植物(ウルシ、ブタクサ、サクラソウ)、医薬品(抗生物質、抗ヒスタミン剤など)、化粧品(マニキュア、制汗剤など)です。これらの物質に触れた部位にアレルギー反応による湿疹が生じます。特に、金属アレルギーは時計バンド、アクセサリー、指輪などで起こることが多く、その中でもアクセサリーが最も多いとされています。これは、アクセサリーにはめっき処理が施されていることから、その下地としてニッケルが多く使用されていることによります。発症は個人差が大きく、原因物質は貼付試験(パッチテスト)や皮内テストで特定することができます。
医学系の書物などには、接触性皮膚炎の原因物質の診断例が記載されています。例えば、「靴着用中に足がかぶれ、足底全面に重度の湿疹を確認。靴底の切れ端を水に浸したものとクロムの両方のパッチテストが陽性反応を示したことから、革靴から溶出したクロムによる接触性皮膚炎と診断した。」という例があります。しかし、この例では、靴底から水で溶出した物質がクロムであったかどうかは確認されていません。また、靴を着用している間には、製造に使用されたさまざまな薬品や、着用中に外部から付着した化合物など、さまざまな物質が足に付着する可能性があります。
3価クロムは、タンパク質、アミノ酸、有機酸などの有機物と強く結合するため、鞣し効果があり、皮膚表面にとどまり浸透しにくい性質があります。一方、炎症原因究明のためのパッチテストに一般的に使用される6価クロムは、タンパク質などの有機物とは結合しにくく、皮膚表面から浸透しやすい性質があります。パッチテスト用のクロムは、重クロム酸カリウム(6価クロム)で毒性が強く、皮膚表面から浸透しやすいため、人体はこれに陽性反応を示しやすいのです。
接触性皮膚炎は、原因を特定できれば、その原因を取り除くことで治すことが可能です。6価クロムは鞣し効果がないため、皮革の鞣しには使用されていません。また、皮革製品のpHは、酸性~弱酸性(pH3~5)であり、仮に6価クロムが存在したとしても不安定で3価に変わりやすい性質を持っています。
接触性皮膚炎とは
-革製品と接触性皮膚炎-
-接触性皮膚炎とは-
接触性皮膚炎とは、皮膚が刺激物やアレルゲンに触れることで起こる炎症です。接触性皮膚炎は、原因となる物質が皮膚に触れた直後に起こる即時型反応と、数日から数週間後に起こる遅延型反応の2つのタイプがあります。即時型反応は、皮膚が毒性物質に触れたときに起こるもので、赤み、腫れ、かゆみなどの症状が出ます。遅延型反応は、皮膚がアレルギーを引き起こす物質に触れたときに起こるもので、赤み、腫れ、かゆみなどの症状に加えて、水疱や膿疱ができることもあります。接触性皮膚炎は、皮膚が刺激物やアレルゲンに触れる機会が多い人ほど発症しやすくなります。例えば、洗剤や化粧品などの化学物質を扱う仕事をしている人や、植物に触れる機会が多い人などは、接触性皮膚炎を発症しやすい傾向があります。
革製品に含まれるクロム
「革製品に含まれるクロム」
革製品に含まれる化学物質の中で、最も一般的なのはクロムです。クロムは、皮革製品を鞣す(なめす)ために使用される化学物質で、耐久性と耐水性を向上させる効果があります。しかし、クロムは金属アレルギーの一種である接触性皮膚炎を引き起こす可能性もあります。接触性皮膚炎は、金属製のアクセサリーや皮革製品などの特定の物質に触れたときに発生する皮膚の炎症です。
接触性皮膚炎の症状としては、赤み、かゆみ、水疱、腫れなどがあります。症状は通常、接触した領域に現れますが、場合によっては、全身に広がることもあります。接触性皮膚炎は、通常、数週間で自然に治癒しますが、症状が重篤な場合は、医師の治療が必要になる場合があります。
接触性皮膚炎を防ぐためには、クロムを含む革製品を避けることが重要です。革製品を購入する際には、製品にクロムが含まれていないかどうかを確認することが大切です。また、革製品を長時間着用した場合は、石鹸と水でよく洗い流すようにしましょう。
パッチテストについて
パッチテストとは、アレルギー反応を引き起こす可能性のある物質を特定するために、その物質を皮膚に貼付し、数日後に反応を観察する検査方法です。
接触性皮膚炎の原因を調べるためには、パッチテストが最も有用な検査法です。パッチテストでは、アレルギー反応を引き起こす可能性のある物質を、小さな金属板やテープに固定し、皮膚に貼り付けます。通常は、背中の上部にパッチを貼り、2~3日後にパッチを取り除いて、皮膚の反応を観察します。
パッチテストでは、金属、ゴム、染料、化粧品、洗剤、防腐剤など、さまざまな物質を調べることができます。また、パッチテストでは、アレルギー反応がどの物質に対して起こっているかを特定することができます。これにより、原因物質を特定することで、それを避けることができ、接触性皮膚炎の症状を改善することができます。
パッチテストは、通常は皮膚科医によって行われます。パッチテストを行う前に、皮膚科医は、患者の症状や病歴について質問します。また、患者の皮膚の状態を診察し、パッチテストに使用する物質を決定します。パッチテストは、比較的安全な検査方法ですが、まれに、かゆみ、発赤、湿疹などの皮膚の反応が起こることがあります。
接触性皮膚炎の治療法
接触性皮膚炎の治療法
革製品と接触性皮膚炎の 関連性を紹介しましたが、実際のところ接 触性皮膚炎の発症を防ぐためには、革製品との接触を避けるほかありません。 皮膚 が革製品に直接 接触しないよう注意し、革製品を使用する場合は必ず素手ではなくグローブを着用する、革製品を身につけた状態での激しい運動は避ける、革製品を使用後はすぐに手を洗う、革製品が直接肌に触れないようにする(革製品の下に布や紙を敷くなど)、革製品を定期的にメンテナンスしてきれいに保つ、革製品を日光や雨に長時間さらさない、革製品を高温多湿な場所で使用・保管しない。これらの点に留意することが大切 です。
革製品の安全性
革製品の安全性
革製品は、財布、バッグ、靴などの日常の生活必需品から、高級家具や車内まで、さまざまな製品に使用されています。革は、動物の皮膚をなめして作られた天然素材であり、耐久性に優れ、長持ちします。しかし、革製品の中には、接触性皮膚炎を引き起こすものがあります。
接触性皮膚炎とは、皮膚が刺激物やアレルゲンに触れたときに起こる炎症です。症状としては、赤み、かゆみ、腫れ、水疱などがあります。革製品が原因の接触性皮膚炎は、主に、革のなめしや染色に使用される化学物質によって引き起こされます。
革のなめしには、クロム、アルミニウム、チタンなどの金属塩がよく使用されます。これらの金属塩は、革を柔らかくし、耐久性を高める効果があります。しかし、一部の人がこれらの金属塩に対してアレルギー反応を起こすことがあります。
革の染色には、さまざまな合成染料や天然染料が使用されます。これらの染料の中には、皮膚を刺激する可能性のあるものもあります。また、革製品の製造過程で使用される接着剤やその他の化学物質も、接触性皮膚炎を引き起こす可能性があります。
革製品による接触性皮膚炎を防ぐためには、以下の点に注意することが大切です。
* 革製品を購入する前に、皮膚に直接触れて、刺激やアレルギー反応がないかどうかを確認する。
* 革製品を使用する前に、水洗いをして、化学物質を落とす。
* 革製品を長時間、直接皮膚に接触させない。
* 革製品が肌に触れたときに、かゆみ、赤み、腫れなどの症状が現れたら、すぐに使用を中止し、医師の診察を受ける。