革製品の「水分」の解説
革製品を知りたい
コラーゲン繊維の水分吸着能力が高いのはなぜでしょうか?
革製品の研究家
コラーゲン繊維は親水性の高い直径1.5nmのコラーゲン線維で構成されており、表面積が大きく(約337m2/g、牛革、水蒸気吸着法)微細な空隙量が多いためです。
革製品を知りたい
表面積が大きいと何が起こるのでしょうか?
革製品の研究家
表面積が大きいと、コラーゲン繊維が水分を吸着しやすくなるため、水分吸着能力が高くなります。
水分とは。
革製品の用語「水分」とは、以下の通りです。
1. 水分測定法:革の水分測定法は、JIS規格K6550に規定されています。方法は、革を105±2℃で加熱乾燥し、恒量に達したときの重量減少の最低値を測定して求めます。JIS規格の化学成分(JIS規格K6551)は、水分14%に換算した値で規定されています。
2. 吸着水分量:皮革製品の標準状態(20℃、65%RH)における平衡吸着水分量は、通常0.16~0.18g/g(対乾燥物重量)(14~15%、以下同様)です。コラーゲン線維は、相対湿度が増加すると吸着水分量も増加しますが、高湿度における水分吸着能力は、羊毛など各種繊維の中で最も良好です。その理由は、皮革が親水性の高い直径1.5nmのコラーゲン線維で構成されており、表面積が大きく(約337m2/g、牛革、水蒸気吸着法)、微細な空隙量が多いためです。皮革製品の水分吸着を阻害する因子は、繊維間充填性のある鞣剤(植物タンニンや一部の合成タンニン)、加脂剤(過剰の中性油)や仕上げ剤などです。水分吸着容量は、着心地やはき心地に影響するので、重要です。
3. 性質:革をさわって水に濡れた感覚を生じる水分量(自由水)は、鞣剤の種類によって異なりますが、約0.60~0.70g/g(37.5~41.2%)以上です。これは、皮革を構成するコラーゲン繊維の親水性が高く、超極細繊維からなる微細な空隙に水が取り込まれて、水の運動がある程度束縛されるためと考えられます。
○:コラーゲン、●:クロム鞣し革、×:油鞣し革、△:ホルムアルデヒド鞣し革、+:植物タンニン鞣し革
水分測定法:革を加熱乾燥して測定
革製品の「水分」の解説革製品の「水分」については、革に含まれる水分量を指します。革は動物の皮をなめして作られる素材であり、なめしの工程で水分が失われます。そのため、革製品の水分量は、革のなめし方や保存状態によって異なります。
水分測定法革を加熱乾燥して測定革製品の水分量を測定するには、革を加熱乾燥して測定する方法があります。この方法は、革を一定の温度に一定時間加熱し、加熱前後の重量を比較することで、革の水分量を算出します。加熱によって革から水分が蒸発するため、加熱前後の重量の差が大きくなるほど、革の水分量が多くなります。
この方法は、比較的簡単に革の水分量を測定することができるため、革製品の品質管理や保存状態の確認など、様々な用途に使用されています。ただし、この方法では、加熱による革の変質や損傷が生じる可能性があるため、注意が必要です。
吸着水分量:皮革の標準状態で測定
吸着水分量皮革の標準状態で測定
革製品の水分には、吸着水分量と吸湿水分量の2種類があり、吸着水分量は、皮革の標準状態で測定される水分量です。これは、皮革に含まれる水分量のうち、皮革繊維に吸着されている水分量を指します。吸着水分量は、皮革の柔軟性や弾力性、耐久性を左右する重要な要素であり、一般的に、吸着水分量が適正な範囲にあると、皮革は柔らかく、弾力性に富み、耐久性にも優れています。逆に、吸着水分量が少なすぎると、皮革は硬くなり、弾力性を失い、ひび割れを起こしやすくなります。また、吸着水分量が多すぎると、皮革は柔らかくなりすぎ、耐久性が低下します。吸着水分量は、皮革の種類や製造方法によって異なりますが、一般的に、牛革は吸着水分量が約10~15%、豚革は吸着水分量が約15~20%、山羊革は吸着水分量が約20~25%程度となっています。
水分吸着能力:皮革は吸水性が高い
水分吸着能力皮革は吸水性が高い
皮革は、多孔質で水分を吸着する能力に優れています。これは、皮革の繊維が水分を保持する性質を持っているためです。このため、皮革は、吸湿性や放湿性に優れており、快適な着心地を保つことができます。また、皮革は、水分を蓄えることにより、乾燥を防ぎ、皮革本来の美しさを維持することができます。しかし、皮革は、水分を吸いすぎると、伸びたり、硬くなったりする性質があります。そのため、皮革製品を水に濡らさないように注意する必要があります。
水分吸着を阻害する因子:鞣剤や加脂剤
革製品の「水分」の解説
革製品は、動物の皮革を加工して作られた、耐久性と柔軟性に優れた素材です。しかし、革製品は、水分や湿気に弱く、水分を吸い過ぎると、形が崩れたり、カビが生えたり、腐敗したりする恐れがあります。そのため、革製品を長持ちさせるためには、水分の管理が大切です。
水分を吸いやすい革製品は、繊維状の構造をしているため、水分を吸いやすい性質があります。革製品の水分の含有率が高くなると、型崩れやしわの原因となることがあります。また、カビや細菌の繁殖を促進し、革製品の劣化を早めることもあります。
水分は革の強度を低下させる水分の増加は、革の強度を低下させます。革製品は、製造工程で鞣剤や加脂剤などの薬品で処理されていますが、これらの薬品は、水に溶けやすいため、水分を吸うと、革の強度が低下してしまいます。
水分吸着を阻害する因子鞣剤や加脂剤
革製品の水分吸着を阻害する要因は、鞣剤や加脂剤です。鞣剤は、革製品をなめして柔らかくする際に使用される薬品で、加脂剤は、革製品に油分を与えて柔軟にする際に使用される薬品で、これらの薬品は、革繊維に浸透して、革製品の水分吸着を阻害します。
水分吸着容量:着心地やはき心地に影響
革製品の「水分」の解説
水分吸着容量着心地やはき心地に影響
革製品は、天然素材であることから、水分を吸着する性質を持っています。この水分吸着容量は、革の種類や加工方法によって異なりますが、一般的に、牛革は豚革よりも、クロム鞣し革はヌメ革よりも水分吸着容量が低くなっています。
革製品の水分吸着容量は、その着心地やはき心地に影響を与えます。水分吸着容量の高い革は、汗などの水分を吸い取ってくれるため、ベタつかず、快適に過ごすことができます。一方で、水分吸着容量の低い革は、汗などの水分を吸い取りにくいことから、ベタつきやすくなり、不快に感じることがあります。
また、革製品の水分吸着容量は、その耐久性にも影響を与えます。水分吸着容量の高い革は、水分を吸い取りすぎると、型崩れしたり、カビが発生したりする可能性が高くなります。そのため、水分吸着容量の高い革は、水濡れを避けて使用する必要があります。
一方で、水分吸着容量の低い革は、水分を吸い取りにくいため、型崩れしたり、カビが発生したりする可能性は低くなります。そのため、水分吸着容量の低い革は、水濡れに強いとも言われています。