革製品の用語『自己塩基化クロム鞣剤』とは?
革製品を知りたい
先生、『自己塩基化クロム鞣剤』ってなんですか?
革製品の研究家
『自己塩基化クロム鞣剤』とは、塩基性硫酸クロムと共に徐々に溶解するアルカリ剤(炭酸マグネシウムカルシウムCaMg(CO3)2(ドロマイト)や酸化マグネシウム(MgO)など)が配合されており、クロム鞣剤が皮中に浸透後、ゆっくりと自動的に塩基度が上昇することで鞣しが行えるクロム鞣剤のことです。
革製品を知りたい
塩基度が上昇する仕組みを教えてください。
革製品の研究家
クロム鞣剤が皮中に浸透した後、アルカリ剤が徐々に溶解して塩基度が上昇します。このとき、クロム鞣剤とコラーゲンが結合して革が形成されます。
自己塩基化クロム鞣剤とは。
革製品の用語である「自己塩基化クロム鞣剤」とは、自動塩基度上昇クロン鞣剤のことです。1960年代にバイエル社/ドイツにより販売が開始されたクロム鞣剤で、塩基性硫酸クロムと共に徐々に溶解するアルカリ剤(炭酸マグネシウムカルシウムCaMg(CO3)2(ドロマイト)や酸化マグネシウム(MgO)など)が配合されており、クロム鞣剤が皮中に浸透後、ゆっくりと自動的に塩基度が上昇することで鞣しが行えるものです。この鞣剤を使用する際には、ピックル液のpH値とドラムの回転による温度上昇の管理が必要となります。
自己塩基化クロム鞣剤の特徴
自己塩基化クロム鞣剤とは、クロム三価塩と有機酸とを反応させ、得られたクロム有機酸錯体を塩基性にして鞣剤としたものです。通常使用されている硫酸クロムの弱酸性または塩基クロムでは、皮革の性質に大きな変化が生じますが、自己塩基化クロムを適用すると、皮革の性質変化は比較的緩やかで、酸性からアルカリ性にわたる広い範囲のpH値で鞣すことができます。
自己塩基化クロム鞣剤は、皮革の強度、柔軟性、耐熱性、防水性、耐久性などの性質を向上させる効果があります。自己塩基化クロム鞣剤で鞣された革は、伸縮性が良く、ソフトでしなやかな感触を持ち、耐熱性や防水性にも優れた特徴を持っています。また、この鞣剤は、皮革に有害な物質を排出せず、環境に優しい鞣剤として注目されています。
自己塩基化クロム鞣剤の製造工程
– 自己塩基化クロム鞣剤の製造工程 –
自己塩基化クロム鞣剤は、クロム塩、重クロム酸ナトリウム、硫酸、臭化物、アルカリなどの原料を混合し、反応させて製造されます。製造工程は、以下のステップに分かれています。
1. クロム塩と重クロム酸ナトリウムを混合して、クロム水溶液を作ります。
2. クロム水溶液に硫酸を加えて、クロム酸水溶液を作ります。
3. クロム酸水溶液に臭化物を加えて、クロム酸臭化物水溶液を作ります。
4. クロム酸臭化物水溶液にアルカリを加えて、自己塩基化クロム鞣剤を作ります。
自己塩基化クロム鞣剤は、皮革の鞣し剤として使用されます。鞣し剤は、皮革の生皮を柔らかくし、耐久性を高めるために使用される化学物質です。自己塩基化クロム鞣剤は、皮革に柔軟性と弾力性を与え、耐熱性や耐水性を高める効果があります。
自己塩基化クロム鞣剤は、皮革の鞣し剤として広く使用されていますが、クロムは有害物質であり、環境や人体に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、自己塩基化クロム鞣剤の使用には注意が必要です。
自己塩基化クロム鞣剤の使用上の注意点
自己塩基化クロム鞣剤の使用上の注意点
自己塩基化クロム鞣剤は、クロム鞣剤の一種ですが、通常のクロム鞣剤とは異なり、鞣し液中に硫酸塩や塩化物などの酸性物質を添加する必要がありません。これは、自己塩基化クロム鞣剤が、鞣し液中に含まれるクロムイオンと革のタンパク質が反応して、酸性物質を生成するためです。
自己塩基化クロム鞣剤を使用する上での注意点は、以下の通りです。
* 鞣し液のpHを適切に管理する必要があります。自己塩基化クロム鞣剤は、pHが低すぎると、革のタンパク質が分解されて強度が低下するおそれがあります。逆に、pHが高すぎると、鞣し液がアルカリ性になり、革が硬化して柔軟性を失うおそれがあります。
* 鞣し時間を適切に管理する必要があります。自己塩基化クロム鞣剤は、鞣し時間が短すぎると、革のタンパク質が十分に反応せず、強度が低下するおそれがあります。逆に、鞣し時間が長すぎると、革が硬化して柔軟性を失うおそれがあります。
* 鞣し後の革を適切に中和する必要があります。自己塩基化クロム鞣剤は、鞣し後に革を中和しないと、革が酸性になって劣化しやすくなります。中和には、重炭酸ナトリウムや炭酸ナトリウムなどのアルカリ剤を使用します。
自己塩基化クロム鞣剤は、適切に使用すれば、革の強度と柔軟性を向上させることができます。しかし、使用上の注意点を守らないと、革の品質を低下させるおそれがあります。
自己塩基化クロム鞣剤による鞣し技術
自己塩基化クロム鞣剤による鞣し技術とは、クロム鞣しの一種であり、クロム塩とアルカリ剤を同時に使用して革を鞣す方法です。この技術は、従来のクロム鞣しに比べて、以下の4つの特徴があります。
-1. 鞣し時間が短い。-
従来のクロム鞣しでは、鞣し時間が数日間かかるのに対し、自己塩基化クロム鞣しでは、数時間程度で鞣しを完了させることができます。
-2. 鞣し効率が高い。-
自己塩基化クロム鞣しでは、クロム塩を効率的に革に浸透させることができるため、従来のクロム鞣しに比べて、より高い品質の革を得ることができます。
-3. 環境負荷が低い。-
自己塩基化クロム鞣しでは、アルカリ剤を使用することで、クロム塩の使用量を減らすことができます。そのため、従来のクロム鞣しに比べて、環境負荷を低減することができます。
-4. 革の風合いを損なわない。-
自己塩基化クロム鞣しでは、革の風合いを損なわないように鞣すことができるため、従来のクロム鞣しに比べて、より自然な風合いの革を得ることができます。
自己塩基化クロム鞣剤の利点と欠点
自己塩基化クロム鞣剤の利点と欠点
自己塩基化クロム鞣剤は、正確なコントロールが可能なため、革の性質をより細かく調整することができます。また、革の風合いや強度を損なうことなく、より柔らかくしなやかな革に仕上げることができます。さらに、従来のクロム鞣剤よりも廃棄物の量が少なく、環境にも優しいというメリットがあります。
しかし、自己塩基化クロム鞣剤には、いくつかの欠点もあります。第一に、従来のクロム鞣剤よりも高価であるということです。第二に、鞣し時間が長いため、生産効率が低下する可能性があります。第三に、鞣し剤の濃度を間違えると、革が硬くなりすぎる可能性があります。