高度不飽和油で理解する革製品のなめし
革製品を知りたい
革製品の用語『高度不飽和油』について教えてください。
革製品の研究家
高度不飽和油は不飽和結合の多い脂肪酸の構成比率が高い油です。タラ油などの魚油が代表的であり、酸化されやすく、油鞣しの過程で、また加脂剤として革に施されたのち空気酸化の過程で、反応性の強い酸化脂肪や各種の低分子アルデヒド化合物を生成します。これらが皮(コラーゲン)と結合して鞣し効果を発揮したり革繊維の性質を変えたりします。
革製品を知りたい
酸化されやすいというのは、どういうことですか?
革製品の研究家
空気中の酸素と反応しやすいということです。酸化すると、油が劣化してしまいます。油鞣しの過程では、油を革に浸透させるために加熱します。このとき、油が酸化してしまいます。また、加脂剤として革に施されたのち空気酸化の過程でも、油が酸化します。酸化すると、反応性の強い酸化脂肪や各種の低分子アルデヒド化合物が生成されます。これらが皮(コラーゲン)と結合して鞣し効果を発揮したり革繊維の性質を変えたりします。
高度不飽和油とは。
革製品の用語である「高度不飽和油」とは、不飽和結合の多い脂肪酸の構成比率が高い油のことです。タラ油などの魚油が代表的です。この油は酸化されやすく、油鞣しの過程や、加脂剤として革に施された後に空気酸化の過程で、反応性の強い酸化脂肪や各種の低分子アルデヒド化合物を生成します。これらの化合物が皮(コラーゲン)と結合して鞣し効果を発揮したり、革繊維の性質を変えたりします。
高度不飽和油とは
高度不飽和油とは、二重結合や三重結合を二つ以上持つ脂肪酸のことです。これらの結合は、炭素原子同士が二本あるいは三本の結合でつながっている状態を指します。高度不飽和油は、常温で液体であることが多いですが、室温で固体になる場合もあります。
高度不飽和油は、魚、ナッツ、種子、植物油などに多く含まれています。例えば、アマニ油、クルミ油、亜麻仁油、大豆油、ひまわり油などが挙げられます。
高度不飽和油は、オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸などの必須脂肪酸を多く含んでいます。必須脂肪酸とは、体内で生成できないため、食事から摂取する必要がある脂肪酸のことです。必須脂肪酸は、細胞膜の構成や、血液の凝固、炎症反応などに関わっています。
高度不飽和油は、酸化しやすいという特徴があります。空気中の酸素と反応しやすいため、時間が経つにつれて品質が劣化してしまいます。そのため、高度不飽和油は、冷暗所に保存し、開封後は早めに使い切るようにしましょう。
高度不飽和油の特性
高度不飽和油は、常温・常圧で水と混ざらない油です。また、油脂を構成する脂肪酸が、二重結合以上の不飽和結合を持つことを意味します。つまり、化学構造上、二本以上の二重結合を含んでいるので「高度不飽和油」と呼ばれますが、慣習的に三本以上の二重結合を含むものをこう呼ぶことが多いです。
高度不飽和油は、主に植物由来であり、植物の新芽や種子などの部位に多く含まれています。例えば、ヒマワリ油、紅花油、コーン油、ゴマ油、大豆油、アボカド油などが高度不飽和油です。高度不飽和油は、体に良い油として知られており、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中の予防などに効果的と言われています。また、高度不飽和油は、酸化しやすい性質があります。
高度不飽和油の革製品への応用
-高度不飽和油の革製品への応用-
高度不飽和油は、革製品のなめしに使用される天然油の一種です。高度不飽和油は、革に柔らかさと柔軟性を与える効果があります。また、革の表面を保護し、水や汚れから革を守る働きもあります。
高度不飽和油は、さまざまな植物から抽出されます。代表的な高度不飽和油には、ヒマシ油、亜麻仁油、紅花油などがあります。これらの油は、いずれも酸化しやすい性質を持っています。そのため、革製品に使用される際には、酸化防止剤を加えて劣化を防ぐ必要があります。
高度不飽和油は、革製品のなめしに使用されるだけでなく、革製品の仕上げにも使用されます。革製品の仕上げには、ワックスやクリームなどが用いられますが、高度不飽和油も使用されます。高度不飽和油を革製品に塗布すると、革の表面に艶が出して、革製品を美しく仕上げることができます。
高度不飽和油は、革製品のなめしと仕上げに欠かせない天然油です。高度不飽和油を使用することで、革製品を柔らかく、柔軟に、そして美しく仕上げることができます。
高度不飽和油を用いた鞣しのメリット
高級革製品作りには欠かせない「なめし」という工程において、これまでよく使われてきたのは動物性油脂です。特に、タンニンなめしに配合する油脂の主流は、牛脂や豚脂などの飽和脂肪酸が主な動物性油脂でした。しかし、近年では、環境への影響が少なく、物性が良く、利用しやすいといったメリットを持つ高度不飽和油脂が注目されています。
高度不飽和油を用いた鞣しのメリットは、まず、環境への影響が少ないことです。高度不飽和油は、飽和脂肪酸に比べて生分解性が高く、環境への負荷が少ないです。また、高度不飽和油を用いた鞣しは、動物性油脂を用いた鞣しに比べて、廃棄物の量が少なく、廃棄物の処理が容易です。
次に、物性が良いことです。高度不飽和油を用いた鞣しは、動物性油脂を用いた鞣しに比べて、革の強度が高く、柔軟性があるため、革製品の耐久性が高まります。また、高度不飽和油を用いた鞣しは、革の表面に光沢が出やすく、美観が向上します。
最後に、利用しやすいことです。高度不飽和油は、飽和脂肪酸に比べて、常温で液体であるため、取り扱いが容易です。また、高度不飽和油は、動物性油脂に比べて、価格が安いため、コスト削減につながります。
高度不飽和油を用いた鞣しの課題
高度不飽和油を用いた鞣しの課題
皮革製造における高度不飽和油の利用は、いくつか課題があります。第一に、高度不飽和油は酸化しやすい性質があるため、なめし工程で油が酸化して皮革の品質を低下させる可能性があります。第二に、高度不飽和油は一般的に他の油よりも高価であるため、なめしコストの上昇につながる可能性があります。第三に、高度不飽和油を用いたなめしは、他の油を用いたなめしよりも時間がかかる場合があり、生産効率が低下する可能性があります。これらの課題を克服するために、高度不飽和油の酸化を抑え、なめしコストを削減し、なめし時間を短縮するための様々な技術が開発されています。