革製品用語集『ピックル』とは
革製品を知りたい
先生、『ピックル』って革製品の用語で聞いたことがあるんですけど、どういう意味ですか?
革製品の研究家
『ピックル』は、革製品の加工工程のひとつで、革に酸と塩の混合溶液を浸透させることで、革を柔らかくし、柔軟性を持たせるための処理のことです。
革製品を知りたい
なるほど。酸と塩の混合溶液を使うんですね。どんな酸や塩を使うんですか?
革製品の研究家
一般的には、酸は硫酸や塩酸、塩は塩化ナトリウムが使用されます。他にも、ギ酸、酢酸、乳酸、芳香族スルホン酸などの酸や、硫酸ナトリウム、ギ酸カルシウム、ギ酸ナトリウムなどの塩が併用されることもあります。
ピックルとは。
革製品の用語である「ピックル」とは、ピックル工程で使用される酸と塩の混合溶液のことを指します。一般的には硫酸が使用されますが、特別な効果を狙って塩酸を使うこともあります。また、ギ酸、酢酸、乳酸、芳香族スルホン酸なども使用されます。塩は通常塩化ナトリウムが使われますが、硫酸ナトリウム、ギ酸カルシウム、ギ酸ナトリウムなどを併用することもあります。
ピックルの定義と目的
ピックルの定義と目的
ピックルとは、生皮をなめす工程で用いられる皮革調整剤の一つです。生皮は動物から剥がされたばかりの皮のことで、そのままでは硬く腐敗しやすいため、なめして革にする必要があります。なめすとは、生皮を薬品や酵素などの化学物質で処理し、腐敗を防ぎ柔らかくすることです。
ピックルは、なめしの工程の中で、クロムなめしを行う前に生皮を処理するために使われます。クロムなめしとは、クロム塩水溶液を用いて生皮をなめす方法で、現在では革をなめす方法として最も広く用いられています。クロムなめしの工程の中で、ピックルは生皮を酸性にすることで、クロム塩水溶液が皮革に浸透しやすくする役割を果たします。
またピックルは、生皮に含まれるタンパク質を分解し、なめし剤が浸透しやすくする効果もあります。ピックルによって生皮が酸性にされると、皮革中のコラーゲン繊維が膨潤して柔らかく弾力のある革になり、伸縮性や耐久性にも優れます。
ピックルには、硫酸や塩酸、ホルムアルデヒドなどの化学薬品が含まれており、適正な濃度や処理時間などを厳密に管理することが重要です。間違った方法で使用すると、皮革が損傷したり、環境汚染を引き起こしたりする可能性があります。
ピックル工程で使用される酸と塩の種類
ピックル工程で使用される酸と塩の種類
ピックル工程で使用される酸と塩の種類は、革の風合いと品質に大きな影響を与えます。酸としては、主に硫酸、塩酸、硝酸などが使用され、塩としては、食塩、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが使用されます。
硫酸は、強力な酸で、革を柔らかくする効果があります。塩酸は、硫酸よりも弱い酸で、革の表面を整える効果があります。硝酸は、硫酸や塩酸よりも強い酸で、革を硬くする効果があります。
食塩は、塩分濃度を高めて、革を腐敗から守る効果があります。硫酸ナトリウムは、食塩よりも塩分濃度が低く、革の柔軟性を保つ効果があります。塩化ナトリウムは、食塩と硫酸ナトリウムの中間の塩分濃度で、革の風合いを整える効果があります。
これらの酸と塩の種類を組み合わせて、革の風合いと品質を調整します。
ピックル工程の効果と重要性
ピックル工程とは、革をなめす前の段階で行われる工程の一つです。革をなめす前には、皮から毛や汚れを取り除く必要がありますが、ピックル工程は皮をなめしやすくするために行う重要な工程です。ピックル液と呼ばれる薬品に皮を浸すことで、皮のタンパク質を分解し、なめしやすくします。
ピックル工程の効果と重要性は、なめしを均一にすることです。なめしは、皮を革にするために必要な工程ですが、なめしを行うと皮は硬くなってしまいます。ピックル工程を行うことで、皮のタンパク質が分解され、なめしを行っても柔軟性のある革になります。また、ピックル工程は革の強度を高める効果もあります。
ピックル工程の注意点
ピックル工程の注意点
ピックル工程では、革の表面に付着した石灰、塩分、汚れなどを除去し、革を柔らかくするために行う工程です。ピックル工程での注意点は、以下の通りです。
・酸の種類と濃度の調整ピックル工程では、硫酸や塩酸などの酸を使用します。酸の種類と濃度は、革の種類や状態によって異なります。酸の種類や濃度を適切に調整しないと、革が損傷したり、ピックル効果が不十分になったりする可能性があります。
・ピックル液の温度管理ピックル液の温度管理も重要です。ピックル液の温度が高すぎると、革が損傷したり、ピックル効果が低下したりする可能性があります。ピックル液の温度を適正な範囲に保つ必要があります。
・ピックル時間の調整ピックル時間は、革の種類や状態によって異なります。ピックル時間が短すぎると、ピックル効果が不十分になり、革が硬くなってしまいます。ピックル時間が長すぎると、革が損傷したり、強度が低下したりする可能性があります。
・ピックル液の循環ピックル工程では、ピックル液を循環させて均一にする必要があります。ピックル液を循環させないと、革の表面にムラができてしまったり、ピックル効果が不十分になったりする可能性があります。
ピックル工程の代替方法
ピックル工程の代替方法
革の鞣し工程において、ピックル工程の代わりに用いられる方法があります。その一つが、酸洗処理です。酸洗処理は、革を酸性の溶液に浸すことで、革のpHを下げる方法です。これにより、革のタンパク質が変性し、コラーゲンの繊維が引き締まります。酸洗処理は、ピックル工程と同様に、革の硬さや柔軟性を調整するために使用されます。
もう一つのピックル工程の代替方法は、酵素処理です。酵素処理は、革を酵素を含んだ溶液に浸すことで、革のタンパク質を分解する方法です。これにより、革の硬さや柔軟性を調整することができます。酵素処理は、ピックル工程よりも短時間で済み、革の風合いを損なわないというメリットがあります。
また、ピックル工程の代替方法として、植物タンニンを用いた鞣し方法があります。植物タンニンを用いた鞣し方法は、古くから行われてきた伝統的な方法で、革に強度と耐久性を与えます。植物タンニンは、ミモザやケブラチョなどの樹木から抽出した天然の成分です。植物タンニンを用いた鞣し方法は、ピックル工程とは異なり、革を酸性の溶液に浸す必要がありません。そのため、革の風合いを損なうことなく、強度と耐久性を高めることができます。
これらの方法以外にも、ピックル工程の代替方法として、様々な方法が研究されています。今後も、革の品質と環境への負荷を考慮した新しいピックル工程の代替方法が開発されていくことが期待されています。