革製品の用語『ニトロセルロース仕上げ』について
革製品を知りたい
先生、『ニトロセルロース仕上げ』ってどういったものですか?
革製品の研究家
『ニトロセルロース仕上げ』とは、ニトロセルロース(硝化綿)を主体とした塗装液(ニトロセルロースラッカー)を使った革の仕上げ方法のことです。中程度のニトロセルロースと可塑剤を有機溶剤で溶かして調合した塗装液を、染色した革の銀面にスプレーします。そうすることで、革に光沢や耐水性などを付与することができます。
革製品を知りたい
ラッカーを界面活性剤で水性乳化液にしたものもあるとのことですが、そちらの違いを教えてください。
革製品の研究家
水性タイプのラッカーは、耐水性が劣り、乾燥するのに時間がかかります。しかしながら、通気性や感触が良好で、溶剤による中毒の心配がありません。そのため、公害防止の観点から、次第に使用が増加しています。
ニトロセルロース仕上げとは。
革製品の用語『ニトロセルロース仕上げ』とは、ニトロセルロースを主成分とした塗装液を使用し、革に光沢や耐水性を与える仕上げ方法です。使用するのは、中程度の硝化度のニトロセルロースに可塑剤を加え、有機溶媒に溶かしたものであるようです。染色された革の銀面にスプレーして塗布し、革に光沢や防水性を与えます。
ラッカーを界面活性剤により水性乳化液にしたものを使用することもできますが、水性タイプはラッカー型に比べて耐水性が低く、乾燥に時間がかかります。しかし、水性タイプは、通気性や感触が良好であること、溶剤による中毒の心配が少ないことから、公害防止の観点から使用が増加しています。
ニトロセルロース仕上げとは何か
ニトロセルロースとは何か
ニトロセルロースとは、硝酸とセルロースを反応させて作られる有機化合物です。革製品の仕上げなどに使用される合成樹脂の一種で、革の表面に薄い膜を形成して保護する役割を果たします。ニトロセルロースは、硝酸セルロース、セルロース硝酸エステル、硝化セルロースなどとも呼ばれます。
ニトロセルロースは、1845年にスイスの化学者、クリスティアン・フリードリヒ・シェーンバインによって初めて合成されました。シェーンバインは、綿花と硝酸を反応させて、ニトロセルロースを製造しました。ニトロセルロースは、すぐにその優れた可燃性と爆発性から、火薬や爆薬の原料として使用されるようになりました。
その後、ニトロセルロースは、映画フィルム、セルロイド、ラッカーなどの原料としても使用されるようになりました。また、革製品の仕上げにも使用されるようになりました。ニトロセルロースは、革の表面に薄い膜を形成して保護する役割を果たします。ニトロセルロース仕上げは、革に光沢と強度を与え、また、汚れや水に強くします。
ニトロセルロース仕上げの効果
ニトロセルロース仕上げの効果
ニトロセルロース仕上げは、革製品に美しい光沢と深みのある色合いを与える効果があります。また、革の表面を保護し、汚れや傷を防ぐ効果もあります。さらに、ニトロセルロース仕上げは革を柔らかくする効果があり、使い込むほどに風合いが増していきます。ニトロセルロース仕上げは、革製品の高級感と耐久性を高めることができるため、高級な革製品によく使用されています。
ニトロセルロース仕上げの工程
-ニトロセルロース仕上げの工程-
ニトロセルロース仕上げは、革の表面にニトロセルロースラッカーを塗布する仕上げ方法です。 ニトロセルロースラッカーとは、ニトロセルロースを溶剤に溶かしたものです。
ニトロセルロース仕上げは、革の表面を保護し、光沢を出す効果があります。また、ニトロセルロースラッカーは速乾性があるため、作業効率が高いという特徴もあります。
ニトロセルロース仕上げの工程は、大きく分けて以下の3つです。
1. 革の準備
2. ニトロセルロースラッカーの塗布
3. 乾燥
革の準備では、まず革の表面を汚れや油分を落としてきれいにします。次に、革の表面をやすりで研磨して滑らかにします。
ニトロセルロースラッカーの塗布は、スプレーガンや筆を使って行います。ニトロセルロースラッカーを塗布する際には、薄く均一に塗るのがポイントです。
乾燥は、自然乾燥または強制乾燥で行います。自然乾燥の場合は、革を風通しの良い日陰で乾燥させます。強制乾燥の場合は、乾燥機に入れて乾燥させます。
ニトロセルロース仕上げは、比較的簡単な仕上げ方法ですが、仕上がりの美しさや耐久性に優れています。そのため、さまざまな革製品に使用されています。
水性ニトロセルロースラッカーの特徴
水性ニトロセルロースラッカーの特徴
水性ニトロセルロースラッカーは、水溶性のニトロセルロース樹脂を主成分とする塗料の一種です。ニトロセルロース樹脂は、硝酸とセルロースを反応させて作られる樹脂で、耐候性、耐水性、耐薬品性に優れています。また、ニトロセルロース樹脂は、速乾性にも優れており、塗布後すぐに乾燥します。
水性ニトロセルロースラッカーは、革製品によく使用されます。革製品に水性ニトロセルロースラッカーを塗布すると、革の表面に薄い保護膜が形成されます。この保護膜は、革を水や汚れから守る効果があります。また、水性ニトロセルロースラッカーは、革の表面に光沢を与える効果もあります。
水性ニトロセルロースラッカーは、使用前に水で希釈する必要があります。希釈倍率は、塗料の粘度によって異なります。塗料の粘度が高い場合は、希釈倍率を高くする必要があります。塗料の粘度が低い場合は、希釈倍率を低くする必要があります。
水性ニトロセルロースラッカーは、ハケやスプレーガンで塗布することができます。ハケで塗布する場合は、塗料を薄く塗り重ねていきます。スプレーガンで塗布する場合は、塗料を均一に吹き付けていきます。
水性ニトロセルロースラッカーは、乾燥時間が短いため、作業効率が良い塗料です。また、水性ニトロセルロースラッカーは、環境に優しい塗料でもあるため、安心して使用することができます。
ニトロセルロース仕上げの注意点
ニトロセルロース仕上げの注意点
ニトロセルロース仕上げは、革製品に光沢や耐久性を付与する人気の仕上げ方法です。しかし、ニトロセルロース仕上げには、いくつかの注意点があります。
まず、ニトロセルロース仕上げは、経年劣化しやすいです。そのため、革製品を長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが必要です。また、ニトロセルロース仕上げは、熱に弱いです。そのため、革製品を高温の場所に放置しないように注意する必要があります。
さらに、ニトロセルロース仕上げは、アルコールに溶けやすいです。そのため、革製品をアルコールで拭いたり、アルコールを含む製品を使用したりしないように注意する必要があります。ニトロセルロース仕上げは、革製品の美しさを引き立てる仕上げ方法ですが、注意すべき点もいくつかあります。革製品を長持ちさせるためには、これらの注意点を守り、適切なメンテナンスを行うことが大切です。